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獣医疫学ユニットとは


2010年4月に、日本の獣医科大学で最も早く設置された獣医疫学独立研究ユニットで、獣医学群、獣医学類、衛生・環境教育学分野に属しています。この分野ではハード・ヘルス学・獣医衛生学・食品衛生学・環境衛生学・人獣共通感染症学・獣医倫理学といった応用獣医学を扱っており、2014年に国際獣疫事務局(OIE)より東京大学職の安全研究センター、シンガポール獣医公衆衛生局とともに、OIE食の安全ジョイント・コラボレーティング・センターに指定されました。獣医疫学蒔田浩平教授は指定時より本学のOIEセンター長に任命されています。
 ユニット教員は現在、蒔田教授1名です。蒔田教授は、埼玉県庁と青年海外協力隊員として派遣されたネパールでの計9年に渡る臨床経験から、世界の貧困削減および家畜・公衆衛生向上には、「集団」での疾病制御と、医学・社会経済学など他分野との連携、さらに住民・行政・研究といった異なる立場間の連携の必要性を強く感じました。このため当時日本で教育されていなかった「獣医疫学」を、2004年から2008年にかけて、スコットランドのエディンバラ大学感染症センター博士課程でウガンダでの実地疫学を通して修めました。その後国際家畜研究所(ILRI:イルリ)にて、ドイツ(BMZ)支援によりサハラ以南アフリカ8カ国で実施されたSafe food, fair foodプロジェクトのポスドク調整員を務め、現在でもILRIとの共同研究を継続しています。
 2010年の研究ユニット設置後、日本においては口蹄疫発生後の生産者と防疫従事者のメンタルヘルス、東日本大震災における津波被災地域の環境リスク、薬剤耐性菌健康影響評価および農場での耐性菌疫学、エキノコックス症の環境リスク、狂犬病侵入時の犬集団への拡散リスク、豚流行性下痢症の発生拡大要因、牛白血病数理モデルと経済評価、牛マイコプラズマ性乳房炎の疫学、生産者の防疫意識に影響する要因の研究、食肉検査データを用いた時系列分析による農場アウトブレイクのリアルタイム検出法確立など、多くの課題に取り組み成果を上げてきました。
 また国外においては、ベトナムにおける狂犬病制圧に関わる社会経済学的研究、および豚肉由来サルモネラ症の疫学とリスク評価、スリランカ、ウガンダ、タンザニアにおいて人獣共通感染症であるブルセラ病の疫学と制圧に関する研究、ケニヤにおける牛乳由来アフラトキシンの健康影響評価、南アフリカ共和国における過去の狂犬病の疫学、ウガンダでのJICA草の根技術協力事業による牛乳生産性および安全性の向上などを実施してきました。
 このように、獣医疫学ユニットでは日本と世界の主要機関と連携し、「問題中心主義」を掲げ、ワンヘルス(異分野連携)・エコヘルス(住民・生産者とのコミュニケーションを含む超学際アプローチ)を推進しながら、学類および大学院教育を通して、日本に限らずアジア・アフリカ地域の重要研究課題への対応と国内外の人材育成を実施しています。